中高時代、広島で下宿生活を送っていた。
何度か下宿先を変わったのだが、自室にテレビ設置OKのところもあれば、共用スペースのみでしか見られないところもあった。そんなとき、好みの合わない先輩がそのスペースを占拠なんかしてたりすると、私はもう一人で部屋に閉じ籠もるしかない。
おかげで本や漫画をひたすら読み耽るという現在も続く根暗な趣味、というか暇つぶしを得たのは今にして思えば幸運だったのか不運だったのか。給料大して高くなくて時間もないくせに、ちょっとでも面白そうな本を見れば買い漁らずにはおれず、結局部屋のスペースがないほどに積読の山が増えていって金欠だけは変わらず、というのは悪癖というか、むしろ不運な出合いだったともいえるのではないか(笑)
そんなどうでもいい前フリはさておき、当時テレビが自由にならない私にとって、本や漫画と並んで限りない刺激と悦楽を与えてくれたのがラジオだったのだ。
ベタに「オールナイトニッポン」とか初期の「ミリオンナイツ」とか夜更かししながら毎日のように聞いてた記憶あるよ。
これら全国区の番組とは別に、当時広島ローカルで毎日やってたのが「びしびしばしばしらんらんラジオ」(通称びしばし)。
今となってはパーソナリティの一文字弥太郎さんや、ゲストの方々のノリのいいボイスの雰囲気くらいしか記憶になくて、内容は何も覚えてないくらいだから、さぞかし他愛もない番組(笑)
でも、たとえ暇つぶしであったとしてもほぼ毎日日課のごとく聞いてたわけだから、多分それなりに楽しんでたのだ。うん、その安らかな感触も朧げながらまだ残ってる。
なんで久々にこの番組のことを思い出したかというと、この番組には地元の女子大生の皆さんが曜日毎にレギュラー出演してたのだけど、数年前その一人とひょんなことで仕事で知り合ったからなのだ。
今は東京を拠点にいろいろアクティブに活動してるおもろい人なんだけど、お互い広島に縁があるってことで何気なく話を進めていると、同じ時期に広島いたんだねってことになって、びしばしってラジオがあったねってことになって「びしばし聞いてた(おれ)」「びしばし出てた(その人)」「ええーーー!!(双方)」ってな展開になったわけ。柄にもなく、いろんなところで思いがけない縁がつながっとるのーと思っちゃったわけよ。
で、なんで今更こんなネタかというと、現在の不安定なネット環境の中、何の加減かごくたまーに動画漁りができるくらい調子いいときがあって、偶然この音楽に再会したからなのだった。
Tears For Fears, Everybody Wants To Rule The World
当時ネットもないし、ラジオから良さげな音楽が流れてきたらテープやMD(これも懐かしいな)にせっせと録音するという涙ぐましい作業を続けてたのだけど、この曲、というよりたまたまこの曲が収録されたテープにはお気に入りの曲が詰まってて、擦り切れるほどに聞いてたよな、と。で、おそらく15年ぶりくらいに聞いたこの曲で、見事に中高時代のあの一人部屋とラジオの記憶が呼び覚まされた、というわけなのだよ。
十代で鬱屈とした頃もあって、あの時代に戻りたい、なんて別に思わないけど、それはそれでいろいろ楽しいこともあったもんやのう、という両義的な思いが交錯する。
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