トヨタ財団で助成した研究プロジェクトの成果の一つ。
臨床心理学をバックグラウンドとする著者が、沖縄に数多棲息する「野の医者」との対話を通して、「心の治療とは何か」という問題に鋭く切り込むアカデコミカル・ノンフィクション(自称)。
宗教→精神世界→スピリチュアル→セラピー→マーケティングという治療のトレンドの変遷が、この20年の日本社会の変化を反映したものであることを示しつつ、「心の治療とは、クライエントをそれぞれの治療法の価値観へと巻き込んでいく営みである」と看破する。実にスリリングな試みでした。
そしてもう一つ、本書にはトヨタ財団プログラムオフィサー(つまりは我が同僚)が実名で登場するのである!
このプロジェクト実施期間、私はまんま国外滞在中であったためあいにく接点はなかったのだが、当時の担当者であるKaga氏とOba氏とのやり取りが克明に記されている。自他ともに認めるマニアックな職掌であるプログラムオフィサーという人種の仕事ぶりの一端が、当事者ではなく、外部からの視点で(断片的であれ)描かれたという点においても稀有な書といえるのではないだろうか。
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