なんちゃって小津月間の件

小津月間(勝手に)到来

小津安二郎の作品は、暇をもてあましてた高校時代に何本か見てしばらくそれきりだった。
10年後、働くようになって某国に出張行ったとき、そんな彼の作品集が驚くほどの破格値で売ってたので、クロサワやジブリや昭和の落語全集(某国地方都市の場末のDVD屋でこんなものまで売ってたのである!)などとともにおトクに一括購入し、久々の再会を果たすことになった。
(もちろん海賊版です。すみません。)

爾来、暇にまかせてちびりちびりと見てはいたのだけど、何となくそういう気分になっちゃって、この4月1日から毎日、仕事が昼からの日は朝起きたらまず小津映画を一本見る、というルーティンを自らに課し過ごしてきたのだった。
(今のお仕事はちょっと変則的で、土日は朝から晩まで忙しいかわりに、平日は午後からなのです。)

至福の三週間であった。
この間私は、ここポルトヴェーリョでもっとも朝の到来を待ち侘びていた男といっても差し支えないであろう(笑)
まとめて見ると、このクオリティの作品群をほぼ年一本のペースで量産してきたことが改めてすごいと思うし、そしてこれらの作品をその気になれば毎日でも気軽に見ることができる、というのも考えてみれば幸せなことだよねほんと。

というわけで、またまた誰からも求められてないけど、小津作品、私の勝手にベスト3を発表する次第だ。

遺作となった『秋刀魚の味』、愉快すぎる『お早よう』、中村鴈治郎と京マチ子と若尾文子の競演がシビれる『浮草』など、いずれも捨てがたいのだが、ベスト3という勝手な制約ゆえに涙をのんで選外とせざるをえなかった。残念である。

第3位『秋日和』

オッサンたちと岡田茉莉子とのやりとり、たまりません。爆笑必至。
いちばん笑える小津作品ではないだろうか。

第2位『麦秋』

紀子三部作(『晩春』『麦秋』『東京物語』)の中からは、二作目にあたるこちらをセレクトしてみました。

もちろん他の二つもいいのだけど、父親への愛がファナティックすぎて若干引いちゃう『晩春』、あまりに浄化されすぎてちょっとイデアの世界に迷い込んだかと錯覚しちゃう『東京物語』に対し、『麦秋』はいちばんマイルドながらスタンダード、って感じで何度見ても泣けちゃうんですね。

そしても一つ。何てったって紀子の親友アヤを演じる淡島千景さんである。
本作での淡島千景は、日本映画史上最高の美しさではないだろうか。

高峰秀子、香川京子、有馬稲子、若尾文子、司葉子、新珠三千代、岩下志麻、そしてもちろん原節子と、小津映画にはこれでもかってくらい美人女優が出てくるんだけど、その中でも淡島千景は抜群ですね。単純に好みの問題なんだけど。

第1位『小早川家の秋』

はい1位は文句なくこれです。
淡島千景の圧倒的な美しさも、エロじじい万兵衛のキュートな魅力には敵いませんでした(笑)
作品の最後で笠智衆が、小津安二郎の死生観を表したとも言われる意味深なというか、説教臭いセリフを吐くのだけど、ぶっちゃけそれはどうでもよろしい。
これはひたすら二代目中村鴈二郎演じる小早川万兵衛がお茶目で素敵すぎる映画なのである。

これを見たら、あーおれも万兵衛のような老後を過ごし、万兵衛のような逝き方をしたいなあと思うこと必定なのである。
でも、それを実現するためには、ブラジルも東京も引き払って関西に戻り、商売を興して財を為し、楽隠居の身分になって子や孫にも恵まれねばならない。

道は、あまりに遠い。。。

今回改めて見て気づいたこと。
いくつもの作品でいい味出してる田中春男、中島らもにそっくりじゃないか!!??
風貌といい独特の関西弁といい、瓜二つやぞ!
  
ググってみたけどあまり適当な画像見当たらず。左写真の手前が田中春男。で、右の写真が、神戸が生んだ我らが中島らも御大です。ちょい分かりにくいね。

何とも締まらない締めですが、それではまた。

  

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えんたく(Entak)

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