渡邉英徳さんのレクチャーを聴いた(オンラインだけど)。
これまでよくTwitter(X)で「ニューラルネットワークによる自動色付け+手動補正」なる写真が流れてきてて、へーっと思いつつ、その都度「いいね」押しつつ眺めていたので、今回まとまったお話聴けるのは有り難い機会であった。
クリエイティヴ・アーカイヴの実践。
この分野無知だったけど、いきなり現段階での極致まで連れてかれちゃったみたいな趣きがあるな。
2011年から現在も続くヒロシマ・アーカイブ。
過去の広島の街と今の広島の街が地続きになる。
ストックされていた資料が、時空間に合流する、フローに変わる。
個別のデータが個別に存在しているのではなく、多元的なデータが一望できることで、一つ一つの葉っぱが木や森のなかに位置付けられること。
そしてその制作のプロセス自体が、記憶のコミュニティ形成につながると。
本プロジェクトには広島女学院の教員・生徒ががっつり関わっている。
地元から協力があることで、俄然スムーズに物事が進むんだと。
分野は全然違うけど、前職で国内各地のプロジェクトに関わらせてもらった経験から言うと、そりゃそうだろうなと思う。
で、女学院と言えば、我らが修道とは、それぞれ広島市内で私立の女子校、男子校ということで何だかんだ交流があったのだ。一緒に遊んだあの子たちは元気であろうか。懐かしいぞ。
このようなことを四半世紀ぶりに思い起こさせてしまうのも、アーカイブがもたらす「記憶のコミュニティ」の効用であろうか(笑)
その前には長崎も。
2016年はこちら。東日本大震災から5年後。
「忘れない」震災犠牲者の行動記録
そして2022年、ロシアのウクライナ侵攻を受けて。
Satellite Images Map of Ukraine: The 2nd Year
ヒロシマではストックからフローへの流れだったのが、
日々大量のデータが更新され続けていく現在、フローからストックへ。
一緒にやっているのは古橋大地さんではないか。前職時代の助成対象者でお世話になったのである。さすがや。
チェルニヒウ州ヤヒドネ村の小学校。
子供たち含め300人の住民が1ヵ月にわたって監禁されていたという。胸が痛い。
ウクライナ「戦災」「心の傷」をデジタルアーカイブに……地下に子供監禁、「ママ愛しています」も3D化 東大教授が現地と連携
日本ではほぼ忘れ去られてるけど、とんでもない被害を出したトルコ・シリア地震。
Satellite Images Map of Turkey-Syria Earthquake
いずれもとんでもない業績や。
で、これまではクリエイターとして、渡邉さんが自身の技術と馬力でプログラムをゴリゴリ書きながら作ってきたことが、今やノーコードで、少なくとも技術的には誰にでも実現可能になった。
ここ数年、プラットフォームの進化が半端ない。
てことでそれを東大の1、 2年生対象の授業の課題として投げかけてみたところ……
大学生が挑戦。GISを使って過去の災害データを可視化・継承する
優秀すぎる。
かねてよりレクチャーを行っていたという読売新聞の記者さんも。
令和6年能登半島地震被災状況マップ
能登半島地震では、渡邉さん自身もフォトグラメトリ(三次元復元)を用いて。
能登半島地震フォトグラメトリ・マップ
確かに大量のデータを必要とするようなタイプのアーカイブって、オープンソースと相性良さそうよね。
個人ないし少人数の作品から集合知の営みへ。
技術の革新に比例するように、それが格好の題材として必要とされるような災いや争いが頻発する現代は果たして幸福と言えるのか。答えはもちろん否に違いない。
何の変哲もない(ように見える)ただの日常の集積が優れたアーカイヴとして存在しうるとき、それはまた新たな意義が付与されるのだろう。
【参考】
Cesium(The Platform for 3D Geospatial)
https://cesium.com/
https://ion.cesium.com/signin/
Maxar(High-resolution Satellite Imagery)※緊急時には無償で画像提供
https://www.maxar.com/open-data
スタジオダックビル(フォトグラメトリ)
https://www.studioduckbill.jp/
戦争をデジタル技術でリアルに 東大教授と学生が届けたいこと
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20231110/k10014253521000.html
能登半島地震と災害マップ──即時対応と継続的な支援のために
https://www.u-tokyo.ac.jp/focus/ja/features/z0405_00030.html
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